『デルトラ・クエスト第3部』エミリー・ロッダ
<岩崎書店刊>

 8冊に渡る第1部で怒涛の展開を見せつつ、主人公と仲間の活躍で影の大王の支配を退け再び国を自分達の手に取り戻したデルトラ王国。そこでめでたしめでたしかと思ったら、主人公の苦難はなお続いてました。
 忠実な部下であったり信頼の置ける隣人であったりした人間が突然暗殺者に変わる恐怖と、影の王国に連れ去られ奴隷とされてる国民の救出をせねばならない、という難題を押しつけられた第2部です。
 それもどうにかクリアして、突然人が裏切る謎を解き、奴隷とされていた国民も助け出し、国に戻って今度こそ本当にめでたしめでたしかと思ったら、主人公の苦難はまだ終わらなかった、一難去ってまた一難、という第3部が待っていました!
 すごい、すごいよ、エミリー・ロッダ。ここまで主人公に苦労させるのか。精神的にも肉体的にも限界まで追い詰めるのかーっ、って感じです。
 まあどうやらこの第3部の4巻で完全にエンドマークがついた模様ですが、これでもかこれでもかといった精神攻撃と肉体攻撃は凄いです。
 そして影の大王の計画にも舌を巻きます。単にデルトラ王家を骨抜きにして国民の信頼を失わせた上で国を乗っ取り終わり、じゃなかったのね。その次の段階、更にその次の段階、更に更にその次の段階まで読んで計画を練り仕掛けを施していた訳ねーっ。ある意味根性あります。その頭脳をもう少し建設的な方向に使ってくれればいいものを、とも思いますが。全くもって才能の無駄遣いですよ。
 それにしても4人の歌姫、というネーミングには参りました。ちょっとロマンチックなものを連想するじゃないですか。だのに実態は気味悪い物体で、悪意垂れ流しの、人を絶望に追い込み農作物を枯れさせ、家畜を病ませ、魚を遠ざけるそんな能力を持った歌声を流すものなんですもんね。
 その歌姫達を倒さない限り、デルトラ国内では作物が採れないし狩りの獲物もいない、という状況を打破すべく国王となった主人公はまたまた苦難の旅に出るのですが、歌姫を全て倒してしまうととんでもない災厄が降りかかる仕組みになっていて……。
 続きは実際に本を読んでお楽しみ下さいませ。貴方の時間を無駄にはしない、とお約束します。