《講談社YA!》
えー、本気でこれを児童書に分類していいのか大いに疑問なんですが、書店でも図書館でも児童書コーナーにおかれているので……良しとしましょう。 とにかく、10巻まで付き合いました。ここまで付き合ったからには最終巻の感想も取り上げるべきかと思いまして書いてます。 まあ結論としては、人間の欲望はすさまじくキリが無いけれど、一方で誰かを救いたい、守りたいと己の命さえ場合によっては差し出すような真似をするのもまた人間なんだって事で……。 だから妖怪達は人間を見捨ててはいないんだよ、人間も人間を見捨てちゃ駄目だよ、希望を持てば未来は開けるよってお話だった感じです。 うん、この作者は色々思うところはあるだろうけど、現代っ子や若い自堕落な人間に苛立ってはいるけれど、でもそんな子供達、若者達を見限ってはいないな、と内容から感じました。 あとは説教臭を読者に感じさせなければベストなんですが。まあその辺は千晶ちゃんの存在がだいぶ薄めさせているようですから。 どんな状況に置かれても、わかってくれる友がいれば、信じて見守ってくれる大人がたとえ遠く離れていても存在していれば、人はやっていけるものだという物語でした。中学一年で家族を失い世界中をほぼ敵と見なして突っ張っていた少年は、妖怪と親友に鍛えられ良き教師とめぐり合って、立派に大人になりました、……って書いちゃうとおとぎ話めいてしまうけど。 とりあえず10巻は、読んでも損はないと思います。主人公の親友である長谷の祖父は、妖怪より怖くて性質が悪かった……ってな前半部は、ちょっと長谷が気の毒でしたが。 |
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